今回はアウトドアブランドのパタゴニアについてご紹介します。自由とチャンスの国、アメリカ発祥のこちらのブランド。もともと登山用具を扱う小さな会社だったそうです。それが今では世界各国に生産工場をもつ一大ブランドにまで成長したわけですから、まさに「アメリカンドリーム」を体現している企業といえますね。
利益追求だけにとどまらず、環境保護活動にも積極的なパタゴニアブランドの真髄を、今回は紐解いていくことにしましょう。パタゴニアの製品を愛用している方や、これからパタゴニア製品を使ってみようかなと考えている方はぜひ最後までお付き合いください!
パタゴニアの概要
パタゴニアは、前述したようにアメリカ発祥のブランドです。創始者はイヴォン・シュイナード氏。アメリカのメイン州リスボン生まれの実業家兼登山家で、生粋のロッククライマーとしても知られています。「パタゴニア」というブランドが誕生したのは1973年のことです。ただ、パタゴニアの前身となる「シュイナード・イクイップメント」はそれ以前から存在していました。
パタゴニアはアウトドア向けの衣料品をメインに扱うブランド
パタゴニアは衣料品をメインに扱っているブランドです。モンベルやロゴスとは異なり、テントやシュラフなどのアウトドア用品は販売していません。そのため、パタゴニアは正確には「アウトドアファッションブランド」といったほうが適切ですね。
アウトドアにはおしゃれなウェアが欠かせない
登山やトレイルランニング、キャンプなどのアウトドアを快適に楽しむためには性能だけでなくデザイン性まで優れたアウトドアウェアが欠かせません。パタゴニアブランドのアウトドアウェアは、性能はもちろんデザイン性にまでこだわり抜かれた珠玉の品ばかりです。
性能面とファッション性にとどまらないパタゴニアのこだわり
また、性能面だけでなく無農薬栽培されたオーガニックコットンを素材として使用しているなどの健康面・自然面への配慮にも妥協はありません。
アウトドアウェアはパタゴニアじゃないと!
そう言わせるだけの魅力が、パタゴニアにはあるのです。
ブランド名の「パタゴニア」ってどういう意味なの?
ブランド名となっている「パタゴニア(patagonia)」とは、「ティンブクトゥ」という意味。日本人にとっては「シャングリラ」といったほうが分かりやすいかもしれませんね。地図にいまだ記載されていない遠方の楽園、遥か遠き理想郷といった意味をもつ言葉です。
「パタゴニア」というワードは、世界のどこの国の言語でも、簡単に発音ができる語句であるとのこと。世界を股にかけるアウトドアウェアブランドとしては、まさに最高のブランド名といえますね。
パタゴニアの本社はどこにあるの?
パタゴニアの本社はアメリカ合衆国カリフォルニア州のベンチュラに置かれています。パタゴニアはアメリカを含め、世界各国に100店舗以上のショップを展開しています。日本にも、20以上の直営店が存在します。
パタゴニアの日本支社ってどこにあるの?
パタゴニア日本支社は神奈川県横浜市戸塚区に置かれています。ショップでいえば、渋谷や鎌倉が有名ですがあくまでも日本における経営上の本拠地は神奈川の戸塚区になるわけですね。
ちなみに、1988年に日本支社が開設された当初は神奈川県の鎌倉にオフィスがありました。戸塚区に支社を移したのは2015年のことです。
私の地元にはパタゴニアショップがなかったので、学生時代には電車を乗り継いでウェアを買いに行ったものですが、現在ではショップだけでなく公式の通販サイトなどからお手軽にパタゴニア製品を購入できますね。科学の力ってすげー。
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パタゴニアのポリシー
現在は多くの企業が環境保護活動に積極的に取り組んでいます。アウトドアブランドもその多くが、独自のポリシーのもとで自然環境を保全するために行動していますね。ただ、パタゴニアはそんなアウトドアブランドのなかでも特に精力的に自然保護活動を行っていることで有名です。
今回は、パタゴニアのポリシーについても簡単にご紹介していきます。
利益追求だけでなく環境保護活動にも熱心なブランド
パタゴニアは年間利益のなかから、一定の割合の金額を小規模な自然保護活動組織に寄付しています。寄付先は多岐に渡り、小さな名も知れぬような組織から世界的に有名な環境保護団体まで幅が広いことで有名です。
かつてはシーシェパードにも寄付をしていた
例えば、過去にその寄付先として名を連ねていた組織に、かの有名な「シーシェパード」があります。環境保護活動を旗印に、過激な活動を積極的に行っている組織ですね。日本とは捕鯨やイルカ漁の是非をめぐって激しく対立している組織でもあります。
シーシェパードに援助していたことで一時、パタゴニア製品の不買運動も起こったほどです。製品の品質とは関係ないところで騒動が起こるのは何だか悲しいですね。ちなみに、現在パタゴニアはシーシェパードに援助はしていません。
はっきり言って、私はシーシェパードって好きじゃありません。しかし、パタゴニアウェアは長年愛用しています。「それはそれ、これはこれ」って便利な言葉ですよね。
アウトドアは自然があるからこそ成立するレジャー
ところで、皆さんはキャンプや登山を楽しまれたあとで、きちんと自分が出したゴミを持ち帰っていますか?まさか、そのまま現地にポイ捨てなんてことはしていませんよね。アウトドアは自然があるからこそ成立するレジャーです。
自然は人間が立ち入れば立ち入るほど汚れていく
ただ、自然というのは悲しいことに人間が立ち入れば立ち入るほど、どんどん汚れていきますよね。100人のキャンパーがいれば必ず1人や2人はマナー違反をする方たちが混じってきます。アウトドア人口が増え、キャンプ場などのスポットに足を運ぶ方たちの母数が増えるほどに、マナー違反をする方たちの人数も増加していきます。
アウトドアブランドの責務とは?
パタゴニアはアウトドアをより満喫するためのグッズを開発販売しているブランドです。ある意味で、アウトドアブランドというものは「アウトドア人口を増やすこと」を助長している企業なのかもしれません。
パタゴニアの確固たる信念
アウトドアブランドが抱えている矛盾を少しでも解消して、数十年先、数百年先にもアウトドアを楽しめるだけの自然を守っていく。そんな信念のもとで、パタゴニアは自然保護活動に積極的な援助を行っているのです。
パタゴニアの歴史
よりパタゴニアについての理解を深めるために、今回はパタゴニアの設立にかかわる歴史についても簡単にご紹介していきます。タヌキでも分かるように噛んで噛んで砕き散らして解説していきますので「歴史?興味ねーよ!」という方もぜひお付き合いください。
ブランドのはじまりは「イヴォン・シュイナード」氏のDIY
パタゴニアの創業者「イヴォン・シュイナード」氏。彼はクライミングを生涯の趣味とし、若い頃からアメリカ各地の岩山に挑戦していました。労働?何それ美味しいの?ってレベルで生活の主軸はもっぱら「クライミング」だったイヴォン氏。
選ばれたのはジリスでした
当然、万年の金欠で、1日1ドル(300円前後)以下でやりくりをするような厳しい生活が続いていました。当時のイヴォン氏がどれくらいボンビーだったかというと、食料を買うお金が足りずに、仕方なく野性のジリス(地面で生活しているリス科動物)を捕獲してスープにしていたくらい。
「ピトン」と呼ばれる金属製の釘
当時、ロッククライミングには「ピトン」と呼ばれる金属製の釘を使用していました。このピトンをハンマーで岩山に打ちつけて基点とし、登っていくわけです。
このピトンは軟鉄製で、1度クライミングで使用したらもう2度と再利用はできません。クライマーはクライミングのたびに、新品のピトンをまとまった本数購入していたわけですね。
金欠だったイヴォン氏にとって、この出費は非常に痛い・・・・・・。そこで、思い立ったのが繰り返し再利用できる新規格ピトンを自作することでした。
「売ってないなら作っちまえ!」
のDIY精神で、主に自分のために特製ピトンの開発を開始したのです。
鍛冶作業がパタゴニアのはじまり
そして、誕生したのが硬質の「モリブデン鋼」で作られた鋼鉄製の特製ピトン。高品質で使い勝手がよく、さらに再利用可能で経済的なこのピトンは少しずつ、しかし着実にアメリカのクライマーたちに浸透していきました。
当時はイヴォン氏が文字通り、1つ1つハンドメイドでピトンを自作していたそう。これを路上販売しながらアメリカ中のクライミングスポットを巡っていたというから驚きです。
ロッククライミングはよりお手軽な趣味になった
その後、特製ピトンの需要が高まったことで、イヴォン氏はパタゴニアの前身ともなった会社「シュイナード・イクイップメント」を創設します。同社が特製ピトンを機械的に大量生産&販売したことで、ロッククライミングはよりお手軽で身近な趣味に変わりました。
パタゴニアの創始者、イヴォン氏の特製ピトンが「ロッククライミング」の世界に革命を起こしたのです。
雄大な岩山がクライマーによって汚染された
突然ですが、ここで1つ皆さんにお聞きしたいことがあります。
Q:鋼鉄製のピトン(釘)を繰り返しハンマーで打ちつけられた岩山って、どういう状態になると思いますか?
アメリカの岩山には、イヴォン氏の特製ピトンを携帯したクライマーたちが連日のように訪れ、ロッククライミングを満喫していました。
お手軽にロッククライミングを楽しめる特製ピトンの流行によって、アメリカ全土でクライミングを楽しむ人口が爆発的に増加したのです。
A:結果、アメリカの雄大な岩山は「金属製ピトンによるヒビ割れだらけ」の状態へと変貌しました。
「あの美しかった岩山が・・・・・・」
自らが開発販売した特製ピトンによって見るも無残な姿になった岩山は、イヴォン氏に大きな衝撃を与えました。
クリーンクライミングの徹底
アウトドアは自然があってこそ成立するレジャーです。利益追求という観点から見れば、大成功を収めたパタゴニア創設者イヴォン氏。ですが、ここで彼は1つの決断を下します。
「特製ピトンの販売は、もうやめよう」
大きな利益を生み出す特製ピトンの販売を停止することを決め、新規設計の全く新しいロッククライミング器具の探求を開始したのです。
「ピトン」から「チョック」へ
模索していくなかで発見したのが「チョック」を使ったクリーンクライミングでした。
チョックとは、もともと岩山に存在する自然な割れ目に差し込み、展開することで固定できるクライミング用のアイテムです。
こうして販売開始されたのが特製の「アルミチョック」。軽量で安価なだけでなく使い勝手も抜群の特製チョックは、アメリカのロッククライマーたちに受け入れられ2度目となるムーブメントを起こしました。
クライマー向けの衣料品を開発
アメリカのクライミング界で磐石な信頼を得たイヴォン氏。次に彼が取り組んだのが「クライマー向けの衣料品開発」です。もともと、ロッククライマー向けの衣料品は、よく言えば「渋い」色。はっきり言えば「古臭い」色のものが主流でした。
素材についても湿気や雨を吸収して重くなってしまうウールやコットン製ばかり。クライマーの足を引っ張るような衣料品しかありませんでした。ここにメスを入れたのがパタゴニア創始者のイヴォン氏です。
アウトドア向け衣料品専門ブランド「パタゴニア」を創設。従来の地味な色合いやデザインのものとは全く異なるカラフルでおしゃれなクライマー向け衣料品を生み出し始めました。
衣料品の開発は一筋縄ではいかなかった
まず、イヴォン氏はポリプロピレン製のプラスチック繊維に目を付けます。濡れても水を吸収せず、すぐに乾くうえに経済的なポリプロピレンはクライマー向け衣料品の素材として悪くない性能を備えていました。
しかし、ここで1つ欠点が露見します。ポリプロピレンは熱に非常に弱い性質を持っているのです。当時は「洗濯洗剤アリエール」なんて存在しません。ガンコな汚れを落とす際には、もっぱら熱湯で洗濯をしていましたから、この欠点は致命的です。
ポリエステル製のクライマー向け衣料品を開発
そこで試行錯誤のうえ、辿りついた素材が「ポリエステル」です。ポリプロピレンと同じくプラスチック繊維であるポリエステル。熱によって融解する「融点」がポリプロピレンよりも高いため高温洗浄できるポリエステルはクライマーにとって最適な素材でした。
ポリエステルをそのまま使用するのではなく、さらに利便性を高めるために素材表面に独自の加工を施して開発された特製の「キャプリーン・ポリエステル」。この素材で作られたパタゴニア製の衣料品は、アメリカのクライマー界に3度目のムーブメントを起こします。
ポリエステルはもちろんコットン(綿)にまでこだわったパタゴニア
現在、パタゴニアはポリエステル素材だけでなく、コットン(綿)を利用した衣類も開発販売しています。コットン、すなわち綿花は畑で生産される植物です。アメリカは綿の生産量世界トップ5に入っています。
ただ、現状多くの農家は綿花の生産に大量の農薬を使用しています。綿花を効率よく生産するためだけに調整された農薬は、綿花以外の植物をことごとく枯らせ、さらに大地の奥深くまで有害物質を染み込ませていきます。
オーガニックコットン製のパタゴニアウェアを手に取ってみよう!
農薬を使った綿花栽培に使用された畑は草木も生えない荒野になっていました。さながら「火星の大地のようだ」と比喩されるほどの酷い有様です。そこで、パタゴニアでは多少のコストがかかっても、無農薬栽培されたオーガニックコットンのみを厳選し、衣料品を生産しています。
敏感なお子さんの肌にも優しいオーガニックコットン製のパタゴニアウェアを、ぜひ皆さんの手で体感してみてください!
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まとめ
パタゴニアブランドの概要と企業ポリシー。そして、パタゴニアの歴史について解説してきましたがいかがでしたでしょうか。高品質なだけではなく、自然環境保護のために素材にまでこだわったパタゴニアウェアは今も世界のアウトドア愛好家たちに着用されています。
自然保護は、アウトドアを趣味とする者にとって逃げることができない重大な課題です。パタゴニアのポリシーについて、個々人で感じることはあるかと思いますが、どうぞパタゴニア製品を実際に手にとってみてから購入するかどうかの決定をしていただければと思います。きっと、他ブランドのウェアにはない魅力を感じ取っていただけるはずです。
それでは、最後までお読みいただきありがとうございました!
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