キャンプ界にソロキャンプブームを巻き起こした人気作品「ゆるキャン△」。さまざまなキャンプの豆知識を、可愛らしいキャラたちの日常をまじえながら習得できる面白い作品で、アニメ化もされています。
今回は、そんなゆるキャン△のなかで登場した「松ぼっくりを着火剤代わりとして利用する方法」について解説していきます。乾燥した松ぼっくりは天然の着火剤として、昔からキャンパーたちに利用されてきた存在です。
そんな松ぼっくりを着火剤の代わりとして使う際の注意点・ポイントや、「なぜ松ぼっくりは燃えやすいのか?」という疑問への解答を提示していきます!ぜひ最後までお付き合いください!
目次
松ぼっくりとは?
松ぼっくりは、正しくは「松かさ」の名前で呼ばれています。その形状から「松ふぐり」とも呼称され、これが地方で訛っていくうちに「松ぼっくり」という名前が誕生した・・・というのが通説です。
ちなみに「ふぐり」とはアレのことですよ。ほら、アレですアレ。た~んた~んた~ぬき~の
松ぼっくりは「果実のようなもの」だが果実ではない
松ぼっくりは、傘のような構造になっており内部に種子が入っています。これは果実と類似した形状で、実際にマツ科植物のなかには「あえて松ぼっくりを動物に食べさせて内部の種を運ばせる」種類も存在します。
松ぼっくりには果肉にあたる子房がない
ただ、厳密には松ぼっくりは果実ではありません。一般的なマツ科植物は裸子植物で果肉にあたる子房がないので、果実とはいえません。あくまでも「ウロコ状の植物片で覆われているだけの雌花」です。
種子は子供の遊び道具になるかも?
松ぼっくりを形成している植物片のなかには、次世代へと子供を繋いでいくための種子が入っています。この種子は空に向かって投げるとクルクルクル・・・・・・っと回転しながらホバリングして着陸します。お子さんにとっては楽しい遊び道具になるかもしれませんね。
地面に落ちている松ぼっくりの多くは、種子が既に飛散しまっています。ただ、なかには「のんびり屋の種子」が残っているものがありますので、ご家族連れでキャンプに行かれた際にはぜひ探してみてください!
キャンプで着火剤の代わりになるのはアカマツ・クロマツ
ひと口に「マツ」といっても日本には実に6種類のマツが自生しています。
- アカマツ
- クロマツ
- リュウキュウマツ
- ゴヨウマツ
- ハイマツ
- チョウセンゴヨウ
の6種類ですね。
このなかで、主にキャンプサイトで着火剤の代わりとして利用されているのはアカマツとクロマツです。ゆるキャン△で登場したのも、おそらくアカマツかクロマツでしょう。この2種は日本の山野に特に多く自生している種です。特にアカマツは北海道~東北などの厳寒地域にも耐えられるだけの耐寒性を持っているので、日本全国の至るところで見ることができます。
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松ぼっくりはなぜ燃えやすいの?
着火力の高い松脂(マツヤニ)がたっぷりと含まれている
古くから松明(たいまつ)として人類に「火の力」を与えてくれていたマツ科の植物。この樹木のなかには、着火力の高い松脂(マツヤニ)がたっぷりと含まれています。マツ科植物の一部である松ぼっくりにも、この松脂が豊富に含有されているため、非常に着火性が高いのです。
松脂はマツ科植物から分泌される天然樹脂で、現在でもさまざまな産業に利用されています。
松ぼっくりが山火事の原因になるほど
松ぼっくりは、湿気がある環境では傘が閉じています。乾燥してくると、パカリと傘が開いて、内部にある種子が外に出てくるわけですね。たっぷりと松脂が蓄えられている松ぼっくりは、太陽光などの集束で時として天然の山火事を引き起こします。
山火事になると、周囲の空気はカラッと乾燥しますよね。マツ科植物のなかにはこの山火事を利用して種を増やすものも存在します。有名なものがアメリカ原産の「バンクスマツ」です。
マツは容赦のない植物?
「え?山火事になったらマツも松ぼっくりも燃え尽きちゃうでしょ?」って思いますよね。これが燃え尽きないんですよ。バンクスマツの種子は強い耐火性を備えているので、火で炙られても発芽能力は無くなりません。
焼畑農業のように山火事を起こして他の樹木を灰にし、土壌を肥えさせてからゆっくりと大地に根を張っていく。わりと容赦のない植物なんですね、マツって。
成熟してくると松ぼっくりは変形してくる
松ぼっくりは年数をかけて少しずつ形態を変化させることで知られます。ゆるキャン△の劇中で、志摩リンが着火剤の代わりとして利用していたのは芽吹いてから2年~3年ほど経った松ぼっくりですね。
0歳児の松ぼっくり
芽吹いてきて、まだ初めのころの松ぼっくりです。これから年数をかけて少しずつ大きく肥大化していきます。
1歳児の松ぼっくり
1年ほどが経過し、松ぼっくりらしい形状になってきましたね。しかし、まだまだ着火剤の代わりにするには若すぎます。
2歳児の松ぼっくり
これがさらにもう1年ほど経過すると、完熟して色合いが茶系に変化していきます。秋~冬の乾燥する時期になると自然に傘が開き、傘の間にある種子が山野に飛散していくわけですね。役割を終えた松ぼっくりは、自身の重みでポトンと地面に落下します。これを着火剤の代わりとして使うわけです。
種子を次世代に残していくために傘が開く
松ぼっくりは水に濡らすと傘が閉じ、逆に乾燥すると傘が開きます。これは全て、種子を次世代に残していくための工夫です。松脂が含まれているのも、害虫から大切な種子を守るため。
松ぼっくりを着火剤の代わりにする際には、松ぼっくりのなかに種子が残っていないかを確認し、もしも種子が残っていたならぜひ地面に撒いてあげてください。キャンパーみんなで協力して10年先、20年先と松ぼっくりを見つけられるような環境を残していきましょう。
松ぼっくりを見つけられる時期
松ぼっくりは探せば年中見つけられる
秋~冬に落ちているイメージが強い松ぼっくり。ただ実のところ、松ぼっくりは探せば年中見つけることができます。日本は春夏秋冬と4シーズンで山の模様が変わることで知られています。ただ、松ぼっくりについては例外で、桜が咲いている時期でも、紅葉が色づいている時期でも変わらず発見できます。
松ぼっくりの種子が飛散する時期は秋~冬にかけてだが
日本に自生しているマツの多くは秋~冬にかけて松ぼっくりの傘を開かせて種子を飛ばします。ただ、「種子が飛散したあとの松ぼっくり」であってもすぐに地面には落下しません。自重や突風などで枝からプツっと離れるまでは、そのまま樹上に残っています。
長いものだと半年~1年程度、枝に残っている松ぼっくりもあります。そのため、季節を問わず山野の大地には松ぼっくりが転がっているわけですね。
松ぼっくりを使うなら梅雨の時期や雨が続いた日は注意!
ただ、松ぼっくりを着火剤として利用する場合には注意が必要です。梅雨の時期や雨が続いた日の松ぼっくりはじっとりと水分を含んでおり、乾燥させなければ着火剤の代わりとして利用できません。
そのため、5月~6月のジメジメした時期や台風の過ぎた直後の日に、松ぼっくりをあてにして着火剤をケチると火起こしに難儀するかもしれません。天然の松ぼっくりを着火剤にしたい場合には、時期や天候に注意してくださいね。
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松ぼっくりを着火剤に火起こしする方法①:準備
キャンパーによって、火起こしの方法にはかなり違いがあります。今回は、私がよくやる「松ぼっくりを着火剤にした火起こしの方法」をご紹介したいと思います。細部については皆さんが作業をしていくなかで、「たぬきち(私)はああ言ってたけど、こうしたほうがもっと火起こしがやりやすいな」と思う形にどんどん変更していってください!
松ぼっくりを着火剤に火起こしする際に準備するもの
- 松ぼっくりを5個~10個ほど。
- 細めの乾いた小枝を10本ほど。
- 種火を移すための薪や炭。
- ライターorマッチ。
- 地面に直火するのなら風除けのための石。
まず、松ぼっくりは最低でも5個は用意しましょう。キャンプサイトに落ちている「乾燥した松ぼっくり」を拾い集めてください。あらかじめ、キャンプに行く前に公園などで集めておくのもよいですね。
実は市販されている松ぼっくり
意外に思われるかもしれませんが、松ぼっくりは普通に市販されています。ただ、オーナメント(飾りつけ)用のものが多いので、場合によっては着火剤より価格が高いです。何だか本末転倒な気もしますが、「松ぼっくりでどうしても火起こしを体験してみたい!」という方は、購入を検討してみるのも一興。
松ぼっくりを着火剤に火起こしする方法②:手順
松ぼっくりから直接、薪や炭に火を移すのは難しい
これは実際に、私がやってしまったミスです。「松ぼっくりに火を付けて、その上に薪や炭を並べる」という方法は、火が移る前に松ぼっくりが鎮火してしまう場合があり、初心者の方には少し難しいです。
松ぼっくり→細い枝→薪や炭
という順番で少しずつ火を育てていくのが火起こしの基本となります。まずは、松ぼっくりを4個~5個ほど集めて、その上に細い枝をのせていきます。そして、松ぼっくりにライターやマッチで着火し、細い枝に火が移ったら薪や炭をのせてください。
薪や炭の火が安定するまでは、無闇に扇いではいけません。薪や炭を火のなかに入れていく際に、隙間を開いて配置していけば扇がなくても十分に空気が火に入り込んでいきます。薪や炭に火が移ったら適宜、扇いで火を大きくしていきましょう。
風防のために石で囲おう
風が強い日に地面に直火してたき火をする際には、風防のために石で松ぼっくりを囲んでおくと火起こしがやりやすくなります。たき火台などで火起こしする場合には、石で風防する必要はありません。
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松ぼっくりを着火剤に火起こしする方法③:注意点
注意点①:松ぼっくりのなかに虫が隠れている場合が
地面に落ちている松ぼっくりには、たまに虫が隠れている場合があります。害のない虫であれば問題はありませんが、毛虫やムカデなどが隠れている場合もありますので、松ぼっくりを集める際には軍手やアウトドア用の手袋を着用するのがおすすめです。
特に、小さなお子さんには厚手の手袋を装備させてあげましょう!オッサンは素手でいいです。
注意点②:松ぼっくり1個が燃え尽きるのにかかる時間は3分ほど
松ぼっくり1個が着火から完全に燃え尽きるまでにかかる時間はおよそ3分ほどです。もちろん、火加減によってかなり前後しますが、「そこまで長持ちしない」ということだけはあらかじめ承知しておきましょう。
松ぼっくりをメインにたき火をする場合には、20個以上のまとまった数を用意する必要があります。秋に焼き芋をする際には、多めに松ぼっくりを収集してください。
注意点③:満開で乾燥した松ぼっくりを選ぼう
たき火などで着火剤の代わりとして利用する松ぼっくりは、できるだけ乾燥しているものが望ましいです。探す際の目安として、傘が満開になっているほど、乾燥した松ぼっくりだと思っていただければ問題ありません。また、形状が崩れていたり、欠けていたりする松ぼっくりは火が付きにくい場合が多いです。
傘がよく開いていて、形がしっかりと整っている松ぼっくりが着火剤の代わりとしてぴったりの松ぼっくり。山野で松ぼっくりを探す際にはぜひ参考にしてみてください!
注意点④:BBQをするなら松ぼっくりの追加投入は控えよう
松ぼっくりがよく燃える理由は、前述したように「松脂(まつやに)」が松ぼっくりに含まれているからです。松脂は鼻にツンとくる独特の臭いがあるので、BBQでお肉やお野菜を焼くと臭いが食材に移ることがあります。
「それでは、BBQで火起こしする場合には松ぼっくりは使えないのでは?」と思われるかもしれませんが、その点については心配ありません。松ぼっくりが灰になるまで燃えてしまえば、松脂の成分はもう残っていません。ただ、「火加減が弱いから松ぼっくりを薪(炭)に追加投入しよう!」というのはNGです。
注意点⑤:もちろん消火は徹底してね!
これは別に、松ぼっくりを使った火起こしに限定した話ではありません。たき火やBBQを楽しまれる際には、必ず消火の準備をしておいてください。水を溜めたバケツを常にそばに置いておき、いつでも消火できるようにしておきましょう。
松ぼっくり以外にも着火剤になるものがある?
松ぼっくりのほかにも、生活のなかで身近なもののなかには着火剤の代わりとして活躍してくれるものが存在します。今回は、松ぼっくり以外にも着火剤になるものを簡単にご紹介していきます!
松ぼっくり以外の着火剤代用品①:牛乳パック
新聞紙が着火剤の代わりになるのは有名ですが、牛乳パックも同じく着火剤の代用品として活躍してくれます。あらかじめ、ハサミでチョキチョキと切っておき、キャンプに持ち込んで火起こしの際に利用してください。
また、牛乳パックはリサイクル資源ですので、綺麗な牛乳パックではなくリサイクルできないような汚れてしまったものを選ぶのがおすすめです。
松ぼっくり以外の着火剤代用品②:麻ひも
100円均一でも購入できる麻ひも。こちらも着火剤の代用品として優秀なアイテムです。キャンプ装備をまとめるのにも使用できるうえに、軽くて持ち運びにも便利。荷物を少しでも減らしたいバイクキャンパーの方たちのなかには、麻ひもを好んで着火剤として使う方もいるのだとか。何だか玄人っぽくてカッコいいですね。
松ぼっくり以外の着火剤代用品③:柑橘類の皮
冬にコタツに入って食べるミカンなどの柑橘類の皮も着火剤の代用品として使える便利な素材です。数日、天日で乾燥させてからキャンプに持ち込みましょう。
松ぼっくり以外の着火剤代用品④:ワセリン
石油由来の保湿剤として広く使用されているワセリンも、着火力の強い成分として有名です。秋~冬の乾燥する時期にキャンプに行くなら、保湿剤などの化粧品は必須アイテム。小枝などにワセリンを付けておけば、火起こしがさらにスムーズになりますよ!
松ぼっくり以外の着火剤代用品⑤:ガムテープ
テントの破れなどを現地で補修するのにガムテープは欠かせません。ガムテープも着火剤の代用品として使えるアイテムの1つです。ガムテープの切れ端をグルグルと丸めて着火剤の代わりとして活用しましょう。
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まとめ
松ぼっくりはキャンプを彩る小粋なアクセサリー
松ぼっくりは私たちキャンパーにとって、着火剤購入費を節約させてくれるラッキーアイテムです。ゆるキャン△でも、志摩リンが第1話で松ぼっくりを着火剤の代わりに使用していましたね。
自然にもともと存在するものを上手に活用していくのも、アウトドアの楽しみです。もしもキャンプサイトで松ぼっくりを発見できたのなら、ぜひ着火剤の代わりとして利用してみてください。それでは、最後までお読みいただき本当にありがとうございました!
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